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俺は、美織の手を引きながら、胸が熱くなるのを感じていた。美織が、スノードロップが食べれるのかと聞いたあの子と重なった。
美織が、あの子?
(まさかな……)
美織との出会いを運命的に感じている、俺の勝手な妄想ばかりが、広がっていく。
「あ、此処だね」
美織が、目線を上げた扉の横に、『写真サークル30周年記念展覧会』とプレートが、掲げられている。
「すげ。本格的じゃん」
「ね、ドキドしてきちゃった」
「俺と手繋いでるからじゃなくて?」
美織は、ふるふると首を振ると頬を染めた。
(かわい……)
扉を開ければ、千点以上はあるだろうか。
「すごい……」
美織が、見上げた目線の先には、記念すべき1期生が撮影した、教会の中のイエスキリスト像が、ステンドグラスからの光に照らされながら、静寂の中、十字架に磔にされた姿の写真が、大型パネルによって吊り下げられている。
「なんか、厳かな気持ちになるな」
「うん……」
俺は、四年前、一度だけ、卒業してから、一人であの教会に行ったことがある。
誰もいない教会で一人、イエスキリストの前で、美野里を思い懺悔した。
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