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『俺、美野里が好き。付き合ってくれる?ってか、なんでこんな好きなのか、理由が分かんないけどいい?』
『いいよ、雪斗と付き合ってあげる。きっと気づけば、目で追って、なぜだか気になって、心の中に相手が、棲みついてるのが恋だから。ちなみに私も、おんなじ気持ちだよ』
美織の真剣な横顔を見ながら、俺は、美野里に告白した時のことを思い出す。
(そうだよな、美野里……)
俺の中には、もう美織が、棲みついてるから。
「あ、これ恭平君じゃない?」
美織が、指差してるのは、『KH』と記載のある向日葵の写真だ。恭平らしく、光を真後ろに持ってきて、向日葵の大輪をアップで撮影している。
「お、正解。なんで分かった?」
美織が、名探偵っぽく、人差し指を立てた。
「夏生まれの和が、誕生日の時、恭平君から指輪と一緒に向日葵の花束もらったって聞いて、その時の写真を、見せてもらった事があるの。その時の写真が、室内の光を背にして、向日葵をアップで撮影してたから」
俺は、美織の頭をポンとなでた。
「お見事、名探偵」
美織が、小さくガッツポーズをした。思わず、ぷっと笑った俺を見ながら、美織が、口を尖らせた。
「もう……。笑わないで。絶対、雪斗のも当ててみせるんだから」
(意外と負けず嫌いなトコあんだな)
俺の知らなかった、美織の小さな事を知れるだけで、口元は、緩んでしまう。
────そして、俺は息を呑んだ。
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