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俺は、会場扉を出るとすぐに、スマホをスワイプした。
「もしもし」
『もしもし』
(ーーーーアイツだ!)
その声は、ヘリウムガスで変えられていて、わからないが、以前、俺に電話をかけてきた奴と同じだろう。
ーーーー橘友也なのか?
「お前っ!一体誰だよっ!」
『……美織に近づくなと警告した筈だ』
「ふざけんなよ!橘友也!お前こそ、美織をこれ以上、怖がらせたら容赦しない。警察への通報も考えてる!美織は、必ず守ってみせる!」
『ははは……』
(笑った……?カマをかけたが、相手は、橘友也じゃないのか?)
『相変わらず、口先だけの男だな。そんなんだから……美野里を失ったんだ』
その言葉にゾッとする。あらかじめ、予想はしていたが、俺が、美野里を失った事を知っているのは、俺の近しい友人、または……。
ーーーー犯人。
「……お前、何知ってる!?」
『美野里の事も美織の事も、オマエよりも知っている……』
「美織は、渡さないっ!美織だけは、絶対にな!必ず……お前の事も突き止めてやる!」
『ふ……威勢だけは、一人前だな……いいか?これは最後の警告だ。美織から離れろ……それに、こんなに話してていいのか?……今、美織は一人かな?また美織も、美野里みたいにならなきゃいいけどね……』
「待っ……クソッ!」
俺は、話中音が、聞こえてすぐに、スマホをズボンに捩じ込むと、すぐさま、展示室の人物エリアへと駆け出した。
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