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階段を登り切り、美織が、201号室の扉の前で立ち止まると、ゴソゴソと鞄に手を突っ込んでいる。
「あれ?」
「美織どした?鍵?」
「うん、えっと……あ!あった」
チャリンと音がして、鞄から、取り出された美織の手元に、俺は、瞬きを忘れていた。
ーーーー小さな雫型の白い石。
「……美織……それ……」
「あ、可愛いでしょ?……初恋の男の子にもらったの」
忘れるわけがない。
間違えるわけがない。
美織が鍵につけている、キーホルダーは、俺があの初恋の子にあげた、スノードロップだ。
鍵穴に鍵を差し込み、ガチャリと扉を開けると、美織が、微笑んだ。
「雪斗どうぞ」
ーーーー何で気づかなかったんだろうか。俺に笑いかける美織が、あの子と重なる。美織にこんなに惹かれたのは、手を伸ばさずにいられないのは、美織が、俺の初恋だから。
ずっと忘れられない、俺の初恋の女の子。
「ゆき、と?どしたの?」
「スノードロップ……」
俺は、そのまま部屋の中に美織を引き込むと、すぐにキツく抱きしめた。
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