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「全部見せて……美織の全部が知りたい」
「でも……」
「欲しいんだ。美織の心も身体も……傷痕さえも……」
雪斗は、私のセーターを脱がすと、すぐに自分のセーターも脱ぎ捨てた。
月明かりの下で露わになった傷痕を雪斗は、私の涙を舐め取りながら、慈しむように、口付けていく。雪斗に抱きしめられる度に、体温を交換しながら、皮膚一枚で互いの心臓の鼓動を感じて、何も考えられなくなる。
「真っ白だな……雪みたいだ……」
「雪斗……優しくして」
「ゆっくり呼吸して、力抜いてて」
雪斗は、傷痕に唇を寄せたまま、私の身体のナカへと指先を挿し入れた。その瞬間に、また一つ深い波に飲まれるように、抑えられない声が、溢れていく。
「アッ……ンッ……あ……雪斗……」
静かな寝室に、私の甘い声と、水音だけが、響いて、羞恥心から思わず口を覆う。
「大丈夫だよ、俺しか聞いてない」
雪斗の大きな掌が、すぐに私の口元を覆っていた掌をシーツに縫い付けた。
「雪斗っ……」
「声我慢しなくていいから……」
溺れていく。
沈んでいく。
深い海の底に二人だけで愛だけを抱いて。
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