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堕天
数日経って、続きを書くために読み返してたんだけどさ、いやあ、アイツが天使だったとか信じられないね。
想像もしたくない。なんか吐き気。寒気。鳥肌がさらに鳥肌って感じ。オレ様が寒さを感じるなんてよっぽどのことだよ、本当に。
まあいいや。それじゃ、背筋が疼いてしょうがないけど、魔王が天使だったときのことを書いていこうか。
主に天使が授かった使命はシンプル。人間をそそのかして悪さをさせること。盗みや殺しといった犯罪から、暴食、姦淫とか欲望のままに行動することまで、その種類は多岐に渡った。
悪さをさせるって言っても試練だから、完全に悪に染まって欲しいわけじゃなかった。葛藤の末に善となるみたいな結末を神も望んでたわけだ。
でも、期待とは裏腹に人間は弱すぎた。打ち勝てなかったんだよね「欲」ってヤツに。
そこから人間に欲が流れ出して、穢れていった。
もちろん、神は止めようとした。でも遅かった。
天使が暴走を始めたんだ。神の静止を振り切って、人間に悪を植え付けていった。
そして、人間の欲が強くなり、誰も天使を止められなくなって、ついに悪魔となってしまった。
人間って弱いけど、魂はすごく強いんだよ。そのせいですぐに周りに影響を及ぼす。良くも悪くも。
悪魔はずっと人間に欲と悪を植え付けた。
人間の欲が膨らみ、それが魂を穢した。
その欲が悪魔の血肉となり、悪魔の力が増した。
そして力をつけた悪魔はまた人間をそそのかした。
この悪循環が続いた。
と言っても、これは世界が始まって数百年のことだったかな。すぐに神は悪魔を封印した。
すごい力だった。神も相当力を使った。
悪魔の封印には成功したけど、それと引き換えに、神は人間の世界に介入する力を半分ほど失ってしまったんだ。
疲れた。
オレ様、頑張った。数百年分の魔王の歴史をこんなに鮮やかにまとめたんだからほんとに褒めて欲しいよ。
わかりにくいとかほざくヤツがいたら燃やす。
ここから先はいったん人間がその後どうなったかを書こう。
封印された悪魔がどうやって魔王になるのかも書かなきゃだしね。その導入って事で。
多分意外だと思うよ。魔王誕生の話。
と思ったけど、顔も見えないし、種族も生きてる時代もわからない読者に向けて語りかけるのってちょっとメンタルがやられるから、ここらでオレ様は寝る。
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