9月7日夜

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9月7日夜

 丸井芳樹は車を運転していた。彼が運転するのはシルバーの普通自動車。わずかな夜の光を浴びて、皓々と輝いている。  丸井はふと空を見上げた。空では依然として宇宙の収縮が続いている。それを見ると丸井は小さく呟いた。  「なんなんだろうなァ、アレ」  丸井は写真家だった。彼は空を撮影するために車を走らせているのだ。一番宇宙が綺麗に撮れる場所を探すために。  軈て良い場所を見つけたのか、丸井は車を止めた。ここは田舎道なので、殆ど車通りがない。だからこそ車を停めるという行為が出来るのだ。都心部でこんなことをしたら大問題になるに違いない。  丸井は早速、カメラをバッグから取り出すと、レンズを上に向け、フラッシュをたいて、それからシャッターを切った。カシャカシャ。角度を変えて何度もシャッターを切る。  そして良い写真が取れたのか、満足した顔をすると、カメラをバッグに仕舞った。  丸井は車に乗り込むと、家に帰っていった。  その頃、未だに宇宙の収縮は終わっていなった。地球上の生物に安息することはどうやら不可能なようだった。
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