チョコの予約

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 一通り考えがまとまったので、脳内を授業に切り替えた。黒板を見て慌ててノートを取ろうとしたけど、容赦なく先生に消されてしまった。意気消沈している私を見て、隣の神谷くんが笑いを堪えていた。 「後でノート貸すよ」  先生にバレないように、神谷くんは口に手を当てて小声で言った。私は手を合わせて口パクで「ありがとう」と伝えた。  終礼が終わると、私は即行で昇降口へ向かった。急いでいるからか、緊張しているからか、鼓動がどんどん早くなっていく。  昇降口では、すでに数人が上履きを脱いでいるのを見かけた。私は慌てて中村先輩を探した。三年の靴箱の方をうろうろしたけど、姿は見当たらない……。まだ来ていないのかな……。  私のカバンには、チョコが入っている。カバンの上から手で押さえて、チョコの存在を確認する。緊張する。深い息をする。落ち着け私。  騒がしい昇降口で、聞き覚えのある声が聞こえた。この声は間違いない、中村先輩の声だ。ドキドキしながら声のする方に目線を移した。 「中村せ……」
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