チョコの予約

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「何?」  二、三歩前を歩いていた神谷くんが急に振り向いた。 「来年は本命チョコがほしいな!」  言った本人は照れ笑い。そう言い残して「じゃあな!」と私に背を向けて走り出した。 「は?」  私は一人残されて、あまりにも突然のことで、思考回路フル回転だが混乱中だ。 「約束だからな!」  十数メートル先で、神谷くんは大声で言った。  どういうこと? え、どういうこと? 本命チョコが欲しいということは……。ん? そういうこと?  急に恥ずかしくなってドキドキしてきた。でも、言って逃げるってひどくない? 「言い逃げずるい〜!」  神谷くんは恥ずかしかったのか、手を振ってそのまま走っていった。    明日学校行ったら、神谷くんにどんな顔したらいいんだろう。  ()も言われぬ高揚感に、私も走り出した。
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