心許帳綴

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「ホントーに伝えなくて良いの?」  まあ良く有る話。周りからはもどかしいのだろう。 「断られたらどうしたら良いかわかんないから」 「そんなの次の恋を探すしかないじゃーん」 「他に人を好きになれる自信がない」  これは本当の事。私が彼を好きになったのはもう三年近く前。高校に入学したころなんとなく気が合った人だった。その時はまだそのくらいだったけれど、気づいた時にはもう好きでしょうがなくなっていた。  友達の彼女にはそのころに伝えたので、それほど長い期間好きなのだから余計に心配してくれるのだろう。 「それに、もう時間は少ないよ」  そう。私たちはもう高校を卒業する。彼は大学に進むために今日も勉強を頑張っている。私のほうと言えば学力的に彼と同じ大学は難しい。適当な短大への進学を希望している。  つまりはもうすぐ離れ離れになってしまう。今は仲良しで居られているが、そうなると状況は違うのかもしれない。だけど、彼なら私の事を忘れないんじゃないか、とかもしかしたら彼から告白してくれるんじゃないか、なんて淡い夢を見ていた。 「もうちょっと考えさせて」  良い返事はできない。私だって所詮淡い夢だってわかっている。だから迷っているんだ。 「でもねー」  彼女はとても心配してくれている。しょうがないんだろう。  友達を困らせてその日は終わった。まだ私の決心はつくはずもない。いつまでこんな中途半端でいるんだろうと、自分でも思う。
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