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「許さないことなんて出来ないよ」
放課後久し振りに勉強をしないで親友に縋った。彼の事をキライになんてなれない。
「そんなに好きなの?」
「うん。忘れたくない」
彼女の問いにはすぐに答える。それが私の本心だから。
「彼も幸せな人間だね。こんなに愛してくれる人が居るなんて」
ちょっとため息交じりだけど、私の事を笑っているのでもけなしているのでもない。「あたしも誰かにそんなに思われたいよ」なんて言うから彼の事をうらやましく思っているみたい。
「そして貴方も素敵な人だと思うよ。あたしも好きな思いがそれだけ続いたら良いんだけどな。それはメリットなんだよ」
「だけど、私は損な生き方だと思ってる」
叶わない恋なんて彼女の様に直ぐに忘れられたほうが楽だ。それは確実に言える。今の私がとても辛いから。
「方法は一つしかないと思うよ」
「忘れられる?」
夢の魔法のような事が有るのなら知りたい。彼を好きな思いを忘れるのは怖いけれど、辛くて、そして恨む様なことはもっと御免だ。
「一度当たるしかないよ」
意味は直ぐに分かった。分かったけれどそんな勇気はない。
「駄目。今は話したくない!」
「逃げても人生なんてどうにかなる事ばっかりだよ。だけど今はそうじゃない。立ち向かわないと」
私は腕を掴まれて彼女に連れられた。恐らく彼の居るところに。
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