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私はいつも心が揺れ動いていた。この春に13歳になったばかりであったけど、海に浮いてうるクラゲのように、周囲の同級生達を、チクリと挿すこともあった。痛い、五月ちゃん、痛いよ、どうしたの?五月はちゃんは?
同級生の斎藤健助くんは、赤城五月を恐れて怖がっていた。
「健助君が、目の前の揚羽蝶を捕まえて、足を引っ張り、クチを指で引き抜いて、羽をハサミで切るからよ、もう、助からないわよ」
赤城五月の話を聞けば、確かに目の前の揚羽蝶はもう助からない、死んでしまうのだった。子供の世界は残酷で、いつも周りが実験代ににされてしまう。
虫も殺さない、優しい人はそうは居るものではない。人間は15歳までは、義務教育期間として育てられ行く。
15歳になれば義務教育期間は終わり、晴れて社会人になることが出来る、大空に向かって、羽を広げて飛んで行けばいいし、もう自由の身だった、自由の身になれた変わりに、同時に責任も発生して来る。
その責任を背中に背負うのが、日本人としての運命でありました。
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