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その晩、要は孝太郎とベッドで寝ずにソファで眠りについた。
朝起きたら体に毛布がかかっていた。
孝太郎…
孝太郎はもういなかった。
早くに会社に行ってしまったんだろう。
テーブルの上を見ると朝食が用意されていた。
昨日あんなに怒っていたのに…
孝太郎の優しさが身に染みて、でも昨日の孝太郎の発言を許せない自分もいて。
要は朝食を摂ると会社に出社した。
「おはようございます」
「真鍋君」
すぐに今村が話しかけてくる。
「おはようございます、今村さん。昨日は…その、ありがとうございました」
「やっぱりダメかな?宮藤がいるのはわかってる。でも本気なんだ」
髪をキッチリ整えて、切れ長の瞳、薄い唇。
女子社員からも人気の男性社員だ。
孝太郎がいた時は、孝太郎の陰に潜んでいたけれど。
そんな人が何故俺に?要は不思議でならなかった。
「なんで俺なんかに…?」
「真鍋君のこと、ずっと可愛いって思ってたんだ」
可愛い、それは男としてどうなのだろうか。
要は複雑な気持ちになる。
「でも…俺には孝太郎がいるので…すみません」
「うん…そうだよね。気持ちだけでも伝えられてよかったよ」
「ありがとうございます。今村さん」
断ったよ、孝太郎。
でも、何だか煮え切らないんだ。
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