あなたが俺を好きになっても

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玄関がガチャガチャ開いて孝太郎が帰って来る。 要は玄関が開くなり孝太郎の首に抱き着いた。 「要…?」 「孝太郎、ごめん…ごめん…俺には孝太郎だけだから、嫌わないで」 すると孝太郎がぎゅっと抱きしめてくる。 「嫌う訳ないだろ。要の気持ち、わかったから…反省してたんだ」 「今村さんにはハッキリ断ったから…俺は孝太郎しかいらない」 そう言うと孝太郎が涙を流した。 「こうた、ろ?」 「俺、アイツに要を取られるんじゃないかって心配で仕方がなかった」 孝太郎が玄関にしゃがみこむ。 要の瞳からも涙がこぼれる。 「俺は孝太郎しか好きにならないよ。泣かないで、孝太郎」 「お前こそ泣いてんじゃねぇか」 クスクスと孝太郎が笑う。 要もクスクスと笑った。 「お前は少し自分の可愛さを自覚しろ」 「男なのに可愛いとか言われても」 要が口を尖らせる。 その唇に孝太郎がそっと口付けた。 「ご飯できてるから、一緒に食べよ?」 「ああ」 孝太郎が目を細めた。 「って、ちょ、孝太郎どこいくの⁉」 「シャワー」 孝太郎が要の手を引いた。 「ご飯なんだってばー!」 「飯の前にお前食う」 「もうー!」 でも、こんな日々が俺と孝太郎の日常で。 それが幸せなんだと思う。 あなたが俺を好きになっても。                           - END -
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