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第2話 古本屋と可愛い女の子
第2話 古本屋と可愛い女の子
朝6時にセットした目覚ましが、けたたましい音を立てて俺を無理やり夢の中から離れさせた。
「あっ、朝か」と言って起きようとすると、何だか温かいものに触れた。
俺はため息をついて「おい、陽葵、起きろ」
「えっ、もう朝?」
「お前、夜中にトイレ行った後、寝ぼけて俺のベットに入ってくるなよ」
「えっ、まだ眠いから、何言っているか、わかんない」と陽葵
俺がベットから立ち上がって着替えようとするけど、陽葵がいるから、着替えにくい。
「ほら、陽葵」と言って布団を剥いだ。
剥いだ布団に眠そうにしていた陽葵の胸のボタンが一個取れている。
俺は、顔を赤くしながら布団をもとに戻した。
陽葵は中学生だけど、発育がいい方でスタイルは理想の体型をしている。
そのせいで発育が良い胸のボタンが一個外れていると、谷間が見えてしまう。
それもパジャマなので、ボタン一個が外れているだけでも大きな隙間ができてしまう。
「陽葵、下に行っているぞ、早く起きないと遅刻するぞ」と俺がいうと、陽葵は、ガバッと起きて、時計を見た。
「あっ、やばい」と言って、俺が寝ていたベットに立ち上がり「それでは兄上、学校にいく準備をしましょう」とお辞儀をして、部屋から出ていった。
全くもうっ。
俺も制服に着替えて、階下に降りていく。
下に降りていくと母親が朝食の準備をしているところだった。
「母さん、おはよう」
「あっ、今日は起こされずに起きたわね、あんたの目覚まし音が大きいのに、普段は、なかなか起きないんだから」
「でも、今日は目覚ましで起きたよ」
「たまにはでしょ、ほらご飯食べちゃいなさい」
そこに陽葵が降りてきた。
「お母さんおはよう」
「はい、陽葵もおはよう」と言って陽葵に味噌汁を差し出す。
陽葵は味噌汁を飲んで
「やっぱり朝は、熱い味噌汁が体に染み渡るね」と俺に向かってウィンクした。
俺は陽葵がしたウィンクの意味がわからずに答えることはしなかった。
「ほら2人とも急がないと遅刻するわよ」
「あっ、本当だ、遅刻したらお兄のせいだからね」
「お前、何の関係があるんだよ」
「いいから、何でもお兄のせいなの」
「そんな‥‥‥」
「ほうら、早くお食べ」と俺たちの頭をグリグリする母親
そんな感じで俺たちは朝食を食べて、家を出てきた。
陽葵の制服はセーラー服、俺の高校と隣合わせにあるので、時々は一緒に登校する。
陽葵はすぐに友達を見つけて「じゃあね、お兄ちゃん」と言って手を振りながら走り去った。
あんまり走ると、危ないのにギリギリセーフの状態で、友達にたどり着いた。
俺が見ていてもヒヤヒヤする。もちろんスカートの長さが短いせいだけど‥‥‥
俺は遠くに走っていった妹を見ながら、高校へ向かって歩いていく。
俺は高校への道を歩きながらポケットから本を取り出す。
本を開いてみようかと思ったところに、蓮の奴が来た。
「おい、昴、お前、たまにはウチまで迎えに来いよ」
「えっ、いやだよ、お前、寝坊の方が多いじゃないか」
「寝坊なんて、いつもじゃないぞ」
「やっぱり寝坊ばかりしているじゃないか」
「あははっ、まぁ、硬いこと言うな」
「お前、そのうち絶対、遅刻するからな」
「いや、それはないぜ」
「どうして?」
「うちにも妹がいるからだよ」
「あっ、そうか、妹の紬ちゃんが起こしてくれるのか?」
「ああ、優しくな起こしてくれるんだ。俺がベットで寝ているところを当然、ドアを開けて、俺の体を踏んでいくんだ。もう嬉しくて嬉しくて、俺、飛び上がるほど目がパッチリよ」
「お前、それって‥‥‥」
「いや〜、いい妹だろう?」
「まぁな」と言っていたら後ろから俺たちを追い抜いていく中学生がいた。
「あっ、おはようございます」
「あっ、おはよう」と俺が挨拶する。
「では」と言って妹の陽葵を追いかけていく。
あの子が蓮の寝ている上に乗って踏んでいく姿は想像できないけど。
まぁ蓮の奴も、それがあるから起きれる訳だ。
してもらっているのか、強引にされているのか? どちらなんだろう?
蓮の奴の顔を見たら、考える気がなくなった。
もう学校の前に来た。
俺と蓮は同じクラスだから、靴箱に靴を入れて、上履きに履き替える。
蓮の奴は、靴箱の扉を開けてため息をついている。
「どうしたんだ?」
「今日もラブレターがない」
「お前、それで毎日、見ているのか?」
「それ以外に何があるんだよ、靴入れと言ったら、ラブレターだろう」
「そ、そうなのか?」
「ああ、そうさ、しょうがない、今日は諦めよう」と言って教室に向かう。
何だか、こいつと幼馴染をやめようと思うことは数回じゃ足りない。
顔はいい方なのに、あの性格が女の子にモテない原因じゃないのか?
蓮の奴が黙っていると、街では振り向く女の子が多いのは事実だ。
しかし、それはあくまでも黙っていると‥‥‥だ。
*
高校の授業が終わって、蓮は部活に入っているので、俺は先に帰ることにしている、蓮はサッカー部に入って活躍している。これで性格さえ良ければ、モテる。
いい寄る女子が何回も見たことがあるが、やっぱり続かないみたいだ。
あの性格じゃあな。
俺は今日はバスに乗って、あの古本屋にいくことにした。
せっかくケチってバスに乗らないで帰ってきたのに、しょうがない‥‥‥
俺はショッピングセンター行きのバスに乗って、目的の場所に降りて、そこから歩いて、あの古本屋までいく。
古本屋を探すが「確か、この変だったよな」
あれっ、どこだっけ?
確か、このコンビニの2軒先だったはずだ、店があったところに行ってもない、俺は喉が渇いたのでコンビニに入り、アイスコーヒーを買う。
コンビニのコーヒーは氷が入っているので、暑い時には、氷をガジガジ噛んで涼む。
コンビニから出てきて、駐車場でアイスコーヒーを飲んだり、氷をガリガリ齧ったりしている。
あっ、でも、あの古本屋、どこにあったのか?
俺は飲み干して紙コップをゴミ箱に捨てて、通りに出てみた。
そうすると古本屋が、まさに2軒先にある。
あれっ、さっき探した時は‥‥‥なかったよな。
でも、今はある、俺が考えるのもしないで古本屋に直行した。
「ガラガラッ」と扉を開けると、本の匂いがする。
あの本屋に間違いない。
「あの、すいません」と声をかけてみる。
誰も返事しない。
俺は奥にいることもあると思い、もう一度大きな声で呼んでみる。
「あの、すいません」
そうすると、あのおじいさんが出てきた。
俺の顔を見て‥‥‥何も言わずに立ち止まるおじいさん‥‥
「あの〜」と言いながら本をポケットから取り出す。
「この本なんですが、お金を払っていないので‥」と俺が言うとおじいさんは、
「その本は、この店の本じゃない」と
「えっ、でも」
「いいから、ここからすぐに出ていってくれ」
と言って、おじいさんに背中を押されて店から追い出された。
おじいさんは俺を追いだしたあと、すぐに扉を閉めた。
「へ?」何が何やらわからずに店の中を覗き込むと、もうおじいさんはいなかった。
俺は店とは背中合わせに立っていると、当然、後ろから風が吹いて、振り向くと店はなかった。
「えっ、店は‥‥‥どこにいった?」
今のいままで古本屋だったところは、ボロボロの空き家になっていた。
俺は何が起きたのか、わからずに古本屋があった場所を見ていた。
そこに隣の店のおばちゃんが話しかけてきて「あんた、何か探しているのかい、さっきからウロウロしていたけど」
「あ、あの、ここにあった店は?
「えっ、あんた、ここの人の知り合いかい?」
「いえ、知り合いって言うほどでもないんですが、以前、本を買いに来たことがあって」と嘘をついた。
「えっ、あんたがかい?」
「ええ、そうですが」
何だかおばちゃんは、俺をジロジロ見ている。
「おかしいね、年代が合わないんだけど」
「えっ」
「ここの店主は、15年も前に、どこかにいっちまったのさ」
「えっ、15年前?」
「ああ、そうさ、あんたが子供? いや赤ちゃんの時だね、あっそうか、親から聞いたんだね、ここで赤ちゃんの時に本を買ってやったって」
「あっ、はい、そうなんです」俺は話を切り替えた。
「あんたが赤ちゃんの時には、ここの爺様も元気でね、でも、15年くらい前に、突然、いなくなったんだよ」
「あの、それで警察とかには?」
「もちろん、届け出たけど、いまだに見つかっていないよ」
「その時の店の状況は?」
「ああ、店内は荒らされていてね、泥棒か、強盗でも入ったんじゃないかって警察も私たちも思っていたよ」
「‥‥‥でも、そうではなかった?」
「ああ、そうさ、防犯カメラがあってね、何もそれらしき人も写っていなんだよ」
「おじいさんも?」
「ああ。出ていった形跡もないんだよ、ここの通りには裏も表も防犯のため監視カメラがあってね、24時間、動かしているんだよ、警察も調べたけど、おじいさんも写っていなくてね。本当にどこにいったのか?」
「‥‥‥」
「あんたも気をつけなよ、じゃあね」
「あっ、はい、ありがとうございます」
と言って別れたけど、いままで俺はおじいさんと会っていた‥‥‥よな。
古本屋の店があって、扉を開けて、本の匂いも嗅いだのに‥‥‥
どうして一瞬で店がなくなる?
夢でも見ていたんだろうか?
そこに女の子が声をかけてきた。
「こんなところで会うなんて、偶然?」と声をかけてきたのは、俺の高校でクラスメイトの学園一かわいい女の子だ。
髪が長くて、胸も大きくて噂じゃEはあるんじゃないかって言っていた。美人というよりも可愛いというのが、印象だけど、いままで学校では一度も話をしたこともない、それが、どうして話かけてくるのか?
「あっ、え〜と」
「あっ、私の名前、わかっていないわね」
「あっ、うん、ごめん」
「私はね、内海 舞よ」
「あっ、そうだったね、ごめん」一度は自己紹介で聞いたことがあったけど、関係ないやって思っていたらから忘れていた。
「それで内海さんは、どうして、ここに?」
「あっ、うん‥‥‥、買い物に来ていたの」
「あっ、そうなんだ」 こんなかわいい女の子に何を話したらいいんだろう?
「私は君の名前、知っているわよ、北小路 昴くんでしょ」
「うん、そうだけど」
「蓮にでも聞いたの?」
「えっ、蓮って誰?」
「えっ、いや、誰もでもない」
「でも、偶然ね、こんなところで会うなんて」
「そうだね、俺も本を買いに来たんだ」
「えっ、本?」
「昴くんは、どんな本が好きなの?」
「俺が読むのはSFだよ」
「えっ、昴くんもSFが好きなの?」
「えっ、じゃ、君も?」
「うん、私もSFが一番、好きで、よく読むんだぁ」
「SFのどんなところが好きなの?」
「そうね、SFって、なんでもできる空想小説じゃない」
「うん」
「自分の思ったことや実際にはできないことでも、なんでもできることが素晴らしいわ」
「俺も、そういうところが好きだよ。SFって、空想科学小説の略だよね、だから自分の空想が無限に広がることができると思うんだよね」
「そうね、私も、そう思うわ」
「あっ、いけっない、私、急ぐんだった。じゃ、また、学校で話そうね」
「あっ、うん、わかった」
「じゃ」
「うん、じゃあ」と彼女は俺に手を振りながら去っていった。
はぁ、初めて、あんな子と話しちゃった‥‥‥。
蓮には、黙っておこう。
あいつに言ったら、何、言い出すか、わかったもんじゃない。
でも、いい匂いがしていたな、妹と違い、何だか‥‥‥
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