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第3話 不思議な本
第3話 不思議な本
俺は本を返しにいったつもりが返すことができなかった。
本を返す店は15年も前に辞めていた…。
しかし店主だと思われる?、あのおじいさんはどこにいったのか?
どうして15年も前に廃業した古本屋が俺の前に現れたのか?
俺は本をポケットに入れたまま、家に帰りついて自分の部屋にいる。
ベットに寝転がり返す事が出来なかった本を読んでみる。
表紙を読んでもタイムトラベルとしか書いていない……それで作者は誰なのか?と見てみるが、字が消えかかって、読むことができない。作者の字が消えかかっているのは、それほど古い本なんだろう。
そして本の表紙をめくる、しかしここは空白、次のページには目次でもあるのかと思ったが目次はなく、文章が始まっている。と言うか、これって出版されているものじゃ、ないんじゃないか?
いや、待てよ、古本屋でパラパラと呼んだときは、普通のSF小説のようだった。
あれっ、おかしいな、あの時は普通のSF小説だったよ…な
違う本なのか? 俺はてっきり同じ本だと思ってしまったが。
確かに表紙を見ると、色も同じ、古さも同じに見えてしまうが、あの時は店内がくらかったから、そこまで詳しく見ていなかった。
そこに廊下を歩く音がして、ノックもなく扉が開いた。
「あ~、お兄、帰っていたんだ」と妹の陽葵ひまり」の声
「おうっ、お帰り」とベットから頭だけを起こしながら答える。
何か用事があるのか、陽葵が俺の部屋に入ってくる。
「お兄、また、本読んでいる?」
「ああ、ちょっと面白そうな本を見つけてな」
「あ~、またSF?」
「うん、そうだよ」
「おもしろいの?」と言って、俺が寝転がっているベットに帰ってきた制服のまま寝転がる。
俺が手に持っている本をのぞき込もうとするけど見えないので、俺に顔を近づける。
俺は妹が近くに来たことで集中力がなくなって、本を陽葵に渡した。
俺がベットから起き上がって、机の横に置いていあるイスに座った。
その時に寝ている陽葵が片足を立てたもんだから目のやり場に困りイスの位置を変える。
「なんだか、よくわからない小説だね」と陽葵(ひまり)
「本の字が、誰かが書いたようになっているだろ?」
「えっ、他の本と同じで印刷してあるよ」
「えっ、ちょっと見せて」と言って陽葵から本を返してもらって本を見てみる。
「ほら、やっぱり誰かが日記のように書いている…」
陽葵がベットから起き上がって、俺の横に来てのぞき込む。
「えっ、なに、言ってんのお兄、ちゃんと読んでみてよ、良い? 2044年9月、この星は破滅してしまう。って書いてあるけど印刷で」
「えっ、俺には、ボールペンで書いた手書きの文字で、今から行動すれば、間に合うかも知らないって書いてあるぞ」
「え~、そんな文字、どこにも書いてないよ、お兄ったら変、お兄が変、お兄が変、あっ、いつものことか」と言いながら部屋から出ていった。
俺だけが見ている文字と、陽葵が見ている文字が違う?
俺には何度、見ても、日記のような文字しか書いていない。
しかも、いますぐ行動すれば間に合う?だと……
しかし陽葵(ひまり)が呼んだ文章も気になる。
今は西暦2026年6月23日だから、あと18年後に地球が滅亡する。
そんな馬鹿な。
たった18年で地球が滅んでいくなんて、そ、そんなの信じられないよ。
うん、そうだ、これは小説の中に書いてある物語なんだ。現実で起きる事じゃない。
俺は振り払おうとしたけど、振り払うことは難しかった。
今までの起きたことが、どうしても頭の中に残ってしまい、勉強に集中できなくなるくらい、俺の頭の中を占用していた。
突然、ドアが開いて「お兄、夕飯だよ」と陽葵が言ってきた」
「お前な、ノックくらいしろよ。俺が着替え中だったら、どうするんだよ」
「えっ、どうもしない、見ている‥‥」と言ってきたもんだから、気疲れがしてきた。
「はぁ」
「何、ため息ついてんのよ。いくよ」
「あっ、わかった」と言って本は持って部屋を出てきた。
*
夕食を終えて、部屋に戻ると、開けた瞬間に黒い物体が消えていくところだった。
俺は、その黒い物体を目で追うことしかできなくて、動けなかった。
黒い物体は、もう、ほとんど、消えていて、残ったものを見ているだけだったが、それでも、ゾクっとするには十分だった。
「な、なんだ、あれ」
黒い物体が消えていく方ばかり見ていたが、部屋の中が、また荒らされていた。
俺は、部屋の中に入ることも薄気味悪くなって、しばらく立っていた。
そこに陽葵が背後から「お兄、何、やってんのよ、早く入れば」と声をかけてきた。
「あっ、うん」と答えて、やっと部屋の中に入って扉を閉めた。
すぐに陽葵も部屋の中に入ったようだった。
俺はたったまま、自分の部屋を見るしかできなくて、すぐに動けなかった。
それは、荒らしたのが、多分、あの黒い霧のような物体のことを考えてだ。
やっと部屋の中を片付ける気になったが、時々、中断して周りを見るようにした、もしかしたら、あの黒い霧状の物体がいる可能性もあるから。
「こ、こんな部屋で、今日、眠れるのか?」
*
やはり夜はウトウトとしたら、ハッと目が覚めて、朝まで眠ることができなかった。
頭がぼーっとするけど、今日は学校にいく日だ。試験が迫っているので休むことができない。
と思って起きようとすると、あれ、目覚まし時計をしていなかったことに気がついた。
寝たまま時計を見ると、いつも目覚まし時計がなる時間の10分前だった。
俺が起きようと手を横にやると、そこには生暖かいものが触れた。
猫は飼っていないので、この生暖かいものは、妹の陽葵だ。
俺は寝ていないつもりでも、陽葵が俺のベットに入ってきたことに気がつかなかったみたいだ。
俺は頭がぼーっとするけど、頑張って起きて、陽葵を起こそうとして毛布越しに、体を揺する。
あれっ、陽葵ってこんなに髪長かったっけ?
背中を向けているけど陽葵って、こんな感じだったか?
あれっ、陽葵じゃない?
俺は、驚きで目が覚めてしまった。
誰だ?
俺は、驚きながらも、ベットを回って前に行ってみた。
前から顔を覗き込むと、あれっ、この顔、どこかで?
俺が顔を覗き込みながら考えていると、本人が目を開けた。
「うわっ」
「えっ、誰?」と行って寝ぼけ眼の目で俺をぼーっとみている。
ベットの上にいる女性は、パジャマを着ている、胸が大きいみたいでパジャマの間からもこぼれ落ちそうな感じに見えてしまう。
誰だ、髪がボサボサで顔も寝ぼけ顔だからわからない。
しかし、どこかで見たことがある顔立ちをしている。
起き上がって俺の方を見ながら、ハッとして胸元を抑える。
少し顔を赤くして、「見た」と聞いてきたので、お決まり通り「いや、見てない」と答えた。
「そう、なら、いいわ」と
「あの、君、誰、どうして、ここにいるの?」
「えっ、前もあったじゃない」
「いや、知らないけど‥‥‥」
「あっ、そうか」と言いながら後ろを向いて髪をセットしたり、顔をパチンパチンと叩いて「これなら、わかるでしょう?」と振り返った。
「あっ、内海さん?」
「そうよ、あたり、舞でいいわよ」
「あの、そのマ、マイさんは、どうして俺の部屋の、俺のベットで一緒に寝ているんですか?」と恐る恐る聞いてみた。
「えっ、それは君を守るためだよ」
「えっ、俺を守るため?」
「ええ、そうよ」と言いながらパジャマのまま立ち上がって俺を指差してウィンクした。
かわいい顔が余計に可愛く見える。
「あなた、狙われているわよ」
「えっ、それって‥‥‥どういうこと?」
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