もしも君が僕のことを思い出したら

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    エピローグ 「ただいま~。お母さん、浴衣買ってよ。今度の花火大会に着て行きたいの」  学校から帰ってきて、開口一番にマリアが言った。 「お帰り。どうしたの。彼氏でも出来た?」 「まあね」  私はちょっと驚いた。でもマリアはもう高校1年生。別に不思議なことではない。 「彼氏と一緒に行くの。ねえ、いいでしょう?」 「いいわ。浴衣は買ってあげる。でもちゃんと私たちに彼のこと紹介しなさい」 「うん。ありがと。あのね~」 「なに?」 「彼氏の名前、シンジっていうんだ。お父さんと同じなんだけど」 「そう」  マリアたちが見上げる花火が、永遠に続く希望の光でありますように。私はそう祈った。          完
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