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河川敷は大勢の人で賑わっていた。隣にいる浴衣姿の彼女が僕にはひときわステキに見える。誰もが憧れていた彼女が僕に告白したのは何かの間違いだと思った。高校生活最後の夏。世の中の全てが僕を中心に回りだしたように思えた。
「良かった。シンジ君が私のことを好きでいてくれて」
僕たちは河川敷の堤防のコンクリートの段に座って花火を見ていた。僕たちは手を握った。
「どうして僕なの? 今でも不思議に思うよ」
「シンジ君は私のことをずっと守ってくれる。そう感じたの」
そう言って彼女は微笑んだ。
とても大きな花火があがった。まるで僕たちに覆いかぶさるような花火。目がくらみ、僕たちは轟音に包まれた。その時、彼女がキャッと叫んで僕の手を強く握しめた。そしてその手を振りほどいて急に立ち上がった。
「トーコさん、どうしたの?!」
彼女は何も言わずに、突然何かから逃げだすように人ごみの中へ駆けていった。僕はすぐに彼女のあとを追った。でも僕は彼女を見失った。
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