4人が本棚に入れています
本棚に追加
2
翌朝、校舎の玄関で靴を履き替えていると、トーコが僕の横を通り過ぎた。僕は慌てて彼女のもとに駆け寄った。
「トーコさん!」
彼女が振り向いた。
「何か?」
「昨日はどうしたの? どうして急にいなくなったの?」
「何のこと?」
「えっ?」
「何のことだかわかりませんよ」
「僕たち、一緒に花火に行って・・・」
「なぜ私が君と花火に?」
僕は衝撃を受けた。
「ごめん。何か気に障ったことでもあった?」
「私、君の言っていることがわからないんですけど」
靴を履き替えて、彼女が先に廊下を歩いて行った。僕は訳が分からなくなった。確かに僕は彼女と花火に行った。彼女の柔らかい手の感触を今もはっきりと覚えている。
僕が3階まで上った時、トーコは1組の教室に入ってしまった。僕は3組へ入り、自分の席に着いてトーコのことを考えた。
最初のコメントを投稿しよう!