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「どうしてはなびはおそらにあがるの?」
マリアが僕に聞いた。
「花火は広い場所に咲くんだ。広いお空に咲くからきれいに見えるんだよ」
「ふうん。でもまちがってあたしのところにおちてきたりしないの?」
「その時は僕がマリアちゃんを守るよ」
僕は笑って言った。
「シンジ君、今なんて・・・?」
トーコが表情を変えて僕に聞いた。
「花火が飛んできたら僕が守るって」
一発の大きな花火が夜空に咲いた。まるで僕達に向かってくるような大きくて激しい花火。トーコが急に僕の手を強く握った。
「シンジ君!」
花火の轟音が響く中、トーコが僕の名前を叫んだ。
「どうしたの?」
「思い出した・・・! 私、全部思い出した!」
「思い出した!?」
「シンジ君、ごめんなさい! シンジ君は私のせいで死んだの!」
「ママ、どうしたの?!」
トーコが心配そうな顔をしてトーコの顔を覗き込んだ。
「僕が死んだって?」
僕はトーコに聞いた。
「違う。君じゃない。君じゃないシンジ君・・・」
トーコの手が微かに震えていた。
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