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アボイドハート
「ごめん、ライブが入ったからデート行けなくなった」と彼が言う。
私は彼のその言葉に酷く落胆した。
自分が都合の良い女と思われているような感じがして急激に怒りが湧いてきた。
「なんで、前から約束してたのにライブ入れるの⁉︎私よりライブなの⁉︎」と言った。
彼はバツが悪そうに「いや、違うけど音楽は俺にとって仕事だから、やらないとダメだよ」と言った。
すると私は「ライブなんていつでもやってるじゃない!それにあんな曲、誰も聞いてないよ!」と言った。
その瞬間、私は「しまった⁉︎」と思った。
今まで隠してきた思いが怒りのあまり溢れ出してしまった。しかし、時はもうすでに遅く心にあった熱は下がり、私の身体は冷や汗を出している。
数秒後……
「そんな風に思ってたのか……。」と
小さな声で彼が言った。
「ごめん、言いすぎた」
私が言ったがもう遅かった。
彼は「ごめん、今まで好きでもない曲ばっか聴かせて」と言い「もう別れよう」と2人が付き合って初めて別れの言葉を彼は言った。
私は「嫌だ!」と言ったが、それとは裏腹に心の中では「もう良いかな」と思ってしまった。
彼は「でも、俺は自分の歌が好きな奴しか好きになれないよ」と告げた。
私は「そっか……。」と言った。
私は彼を失った悲しみとずっと隠していたことを打ち明けられた開放感で今まで聞いたことがない不協和音が胸の奥で鳴った。
やっと私の心は落ち着いたような気がした。
【アボイドノート】はプツんっと聴こえなくなった。
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