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「兄上、義姉上、末永くお幸せに! 新婚旅行が済んで落ち着いたら是非東京へも遊びに来てください。待ってるぜ!」
「ああ、焔。そうさせてもらうよ。楽しみだ!」
「遼二さんと紫月さんもありがとう! 三人でまたいつでも私たちの新居へもお立ち寄りくださいね」
この日の為にわざわざ東京から駆け付けてくれた弟と友人たちに礼を述べると、風と美紅の若夫婦は睦まじく寄り添いながら微笑んだのだった。
ふと空を見上げれば、五月晴れに浮かぶ雲が暁に染まり、香港の巨大なビル群の壁面を眩しいくらいの夕陽が照らしていた。
「そういえば……あの日もこんな空だったわね。貴方に初めてお食事に連れていってもらった……」
「ああ、初デートの時だな。二人で星光大道を歩いたのが昨日のことのようだ」
その帰り道で贈られた真紅の薔薇の花束を、美紅は今でも大事にしていて、ブリザードフラワーにしたそれを新居に飾っていた。
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