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踏み込んできた風は修羅か夜叉かというような形相で、フロアにいた男たちも一瞬躊躇させられたほどだった。
「クッ……周風老板……」
「どうしてここが分かったんだ……」
組織の頂点にいる彼を目の前にしてさすがに躊躇するも、とにかくは我に返って行く手を塞がんと男たちが応戦に出た。だが風はそれらをものともせずに、まるで龍神の如く勢いで美紅目掛けて駆け寄った。
「クソッ……こうなったら仕方ねえ……殺っちまうしかねえ!」
男たちにとって風はまがりなりにも組織の頂点に君臨する長も同然だ。自分たちが与する優秦の父親は周ファミリーの直下だから、本来であれば謀反ということになるが、風は銃を所持しているし、それより何より企みに加担していたのがバレた時点でどのみち自分たちも殺されかねない。そう思った男たちは一丸となって風を仕留めんと襲い掛かろうとした。
ところがだ。
「てめえらの相手はこっちだ!」
後方から風と共にやって来たらしい男が三人現れて、手を煩わされる事態に舌打ちさせられる。
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