不穏

21/32
前へ
/149ページ
次へ
「構うこたぁねえ! 相手はたったの四人だ! 殺っちまえ」  数でいえば圧倒的な差があり、どう見ても男たちが優勢だ。 「舐められたもんだな。クズどもが!」  風が連れてきた三人の内の一人は拳法使いで、もう一人は空手の構えだ。攻撃を仕掛ける間もなく、入り口付近にいた男たちの意識をものの数秒で刈り取った。二人は体格も堂々としていて眼力も鋭く、ただ立っているだけで圧倒されるようなオーラを放っている。 「クソ……ッ、小癪な……!」  これを相手にするのはかなり厄介だと男たちも焦りを隠せない。  それ以前に拳法使いの男の顔立ちにも驚かされる。どこそこ雰囲気は違うものの、風とよく似た面立ちは影武者なのではと思わせるくらいに瓜二つだったからだ。 「クソッ……どうなっていやがる……」 「影武者でも連れて歩ってるってのか、風老板(ファン ラァオバン)は!」
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

964人が本棚に入れています
本棚に追加