964人が本棚に入れています
本棚に追加
この二人は男性同士で愛し合っていて、もうすぐ結婚間近と聞いていたが、なるほど似合いのカップルだと納得させられる。おそらくは鐘崎の方が亭主で、一之宮という綺麗な男の方が妻という立ち位置なのだろうということは、女性の美紅にも想像できてしまうようなカップルであった。
「皆さん初めまして、高美紅です。焔さん、ご友人の鐘崎さん、一之宮さん、いらして早々にお手を煩わせてしまい申し訳ありませんわ」
美紅が挨拶すると、三人は「本当に美人だ!」と言っては風の肩をつつく勢いで感嘆の声をあげた。
「兄貴から電話で聞いてはいたが……本当に素敵な女性で驚いてます。どうぞ末永く兄貴をよろしくお願いします」
弟の焔にそう言われて美紅も頬を染めながらうなずいた。
「それはそうと、こんなふざけたことをしでかした張本人は何処へ行ったんだ」
焔の友の鐘崎が辺りを見回しながら言う。
「そういやそうだな」
美紅の安全を確認したことですっかり安堵していたが、企てた張本人の優秦の姿が見えないことに気付く。
「ふん、どうせ二階辺りに潜り込んだってところだろう」
焔が『俺が見てくる』と言って、フットワークも軽く階段を駆け上がって行き、少しすると優秦の首根っこを掴むようにしながら戻って来た。
最初のコメントを投稿しよう!