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「風老板、たった今、楚大人より連絡がありました。もう少しでここに到着するそうです」
やって来たのは弁護士兼側近の曹であった。この拉致が優秦の仕業だと判明した時点で、すぐさま父親の楚光順に連絡を入れていたのだ。
「本来ならばこんなもので許す筋合いもないがな……。お前の親父さんは非常に温厚且つ誰もが認めるほどに人望も厚い人柄だ。我がファミリーにもよく尽くしてくれている。その親父さんの顔を立てて今回の処遇は彼に任せるが、二度と俺たちファミリーの前にツラを合わせられると思うな」
風はそれだけ言い捨てると、後の処理を曹に預けてこの場を後にした。
◆ ◆ ◆
邸へと戻る車中では風が美紅の肩を抱きながらぴったりと寄り添っていた。今日は弟たちを迎えに行ったこともあり、いつものセダンタイプの高級車ではなく大勢が乗れるワゴン車であった。
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