不穏

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 また、弟・焔の友人たちの結婚式にも呼ばれて、美紅も日に日にファミリーとしての交友関係や生活のサイクルにも慣れた頃、待ちに待った二人の結婚式当日を迎えようとしていた。 「いよいよ明日だな。貴女の夫として末永く頼ってもらえるよう精進するつもりだ」 「黒龍、私こそ……。良い妻になれるように努力するわ」  香港マフィア頭領の長男坊の結婚式だ。招待客だけでもすさまじい人数である。近隣諸国のマフィア頭領たちなど裏の世界の関係者はもちろんのこと、政界、経済界など各界からも名だたる人物が山と招かれて、式は盛大なものになるであろう。 「人の多さもだが、貴女には気疲れさせてしまうかも知れないがすまないね」  自分がずっと側にいるからと気遣ってくれる風に、美紅もまたありがとうと言ってうなずいたのだった。
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