マフィアの花嫁

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 焔も即座に父の考えを理解してか、『分かった!』と言って急ぎ控室を後にした。  蘭の花を襟回りに飾るというのなら、式と披露宴の間は枯れないように花の根元に水分や栄養剤を仕込む細工も必要だろう。幸いホテルには宴席専用の生花部が入っている為、事情を話せば適切に用意してくれることだろう。焔と共に友人の鐘崎と一之宮も付き添って、大至急調達に向かったのだった。  控室では美紅がタキシードのジャケットに蘭図を描き終えた頃、焔たちが息咳切らして生花を持ってやって来た。 「親父! 間に合ったか?」 「ああ、焔。ご苦労だったな。ちょうど描き上がったところだ」  それからは衣装部が総出の勢いでドレスの襟に蘭の花を括り付けていった。
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