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控室に戻って着替えを済ませ、式場を後にするファミリーは幸せに満ち溢れていた。
突然の嫉みによってウェディングドレスを汚されるという災難を見事感動の一着へと変えた美紅の機転によって、その絆も更なる強靭なものとなり、ここに次世代を継ぐ若き頭領夫婦が誰からも絶賛される形で誕生したのであった。
「次は焔、お前さんの番だな」
父の隼が次男坊の焔に向かってそんな期待を口にする。彼もまた、兄に似て男前ゆえ引き手数多であることに違いはないのだが、意外にもまだ生涯を共にしたいという唯一無二の相手には出逢えていないようだ。
「そうだな、俺も兄貴みてえに素晴らしい伴侶を見つけられるように頑張らねえと!」
タジタジながらも照れ臭そうに頭を掻いた頼もしいこの弟に周風と美紅のような強い絆で結ばれる相手ができるのは、この晴れの日から二年足らず後のことであった。
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