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「今日からはこのお花も一緒に飾るわ」
父から貰った三色の蘭花を大事に胸に抱えながら美紅は言った。
「それもまたブリザードフラワーにするのかい?」
「ええ、そうよ。ブリザードフラワーにしておける時期が過ぎたら今度はドライフラワーにして我が家の家宝にするわ!」
貴方にいただいた薔薇と一緒にと言って微笑む横顔が堪らなく愛おしく、可愛くてならなかった。
「そうだ、メイ! 俺たちに娘ができたら、その子の結婚式にはこの花をブーケにして贈ってやるのもいいな。もしも息子だったらその嫁さんに贈ろう!」
早々ともう自分たちの子供の結婚式のことまで想像を巡らせる風に、美紅は大きな瞳を更に大きく見開いてはまん丸くしている。
「おいおい、えらく気が早いことだな」
父の隼が呆れたように笑う傍らで、
「まあ! それならお爺ちゃんとお婆ちゃんもそれまで元気でいないとだわね!」
母の香蘭までもがすっかり孫の将来を思い描いている。
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