【番外編】素晴らしき贈り物

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「どうだ? 似合うかい?」 「ええ、とっても! 貴方は何を着ても素敵だけれど、私の編んだ物を着ていただけてとっても嬉しいわ」 「メイ、ありがとう! ありがとうな、本当に! 一生大切にするからな!」  風の感激はとどまるところ知らずで、 「そうだ! 親父とお袋にも自慢しよう!」  そんなことを言って、姫抱きのままで部屋を出て行こうとする。 「黒龍ったら! 降ろしてちょうだいー! このままじゃいくらなんでも恥ずかしいわ……」 「いいじゃないか。貴女は俺の妻になるんだ。夫が妻を抱いて、何の恥ずかしいことがあるものか!」  悪戯そうに笑いながらも降ろしてくれない未来の亭主に、美紅はパタパタと身を捩っては頬を染めた。  そんな折だ。部屋を出ようと扉を開けた瞬間、目の前に側近の曹が立っていて、あわや衝突寸前。双方共に驚きの声を上げた。曹も明日からの東京行きについて行くので、その所用だったようだ。
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