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「あ!悠ちゃん、りんご飴があるよ。」 先生がそう言って、屋台でりんご飴を5本も買ってきた。 それにも苦笑い・・・。 「先生、人にお金を掛けすぎです。 だからお金目当ての女の人も多いんですよ?」 「りんご飴5本でそう言われるのか・・・。」 先生がりんご飴を私に1本渡してくれて、ビニール袋に入れた残りの4本は先生が持っている。 「家まで送った時に渡すからね。 お父さんとお母さんとお兄さんと、ハナビの分。」 「お兄ちゃんは実家に住んでいませんし、ハナビはネコなのでりんご飴を食べません。」 「じゃあ、お兄ちゃんの分は悠ちゃんが食べてね。 ハナビのはハナビのオモチャにしてあげよう。」 我が家の家族構成まで知っている先生がそう言って、優しく笑い掛けてくれる。 それには・・・苦笑いではなく自然と笑い返してしまう。 先生は本当に優しくて良い人で、きっと良い男でもあるはずで。 なのに女を見る目だけがなくて可哀想な人だとも思ってしまう。
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