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私がデスクを片付け始めると、先生が慌ているのがすぐに分かる。
「今日は金曜日だからビアガーデンでも行かない?」
「高級ホテルのですか?」
「うん、静かで落ち着いている良い所なんだ。」
「私は高級ホテルとか全く興味がありません。
どうぞ他の方と行ってきてください。」
「・・・何か他に予定がある?」
そう聞かれ、鞄を持って立ち上がった。
「友達と婚活パーティーに出てきます。
私も今年で30歳になるので、そろそろ結婚を考えています。」
先生に笑い掛けながら答える。
明らかに先生は動揺していて、これで弁護士がやっていけるのか心配になるくらい。
でも、先生が動揺しているのは見たことがなかった。
4年制大学を卒業して別の法律事務所の所長の元で秘書をしていた私が26歳、先生が33歳の時に先生の事務所に転職をした。
それからこういうのは何もなく過ごしていて、先生もたまに彼女が出来ていた。
そんな先生が去年の12月頃から突然私に対して頑張り始めた。
女を見る目がない先生が私に対して頑張り始めた。
それは私が良い女ではないということ。
何も嬉しくなかった。
そんなの全然嬉しくなかった。
全然全然、嬉しくなかった。
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