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「悠ちゃん、金曜日の婚活パーティーはどうだった?」 月曜日に出勤したら、挨拶もなく先生に聞かれた。 それには苦笑いをする。 「おはようございます。 無事にカップルが成立しました。」 「カップルって・・・付き合ったってこと?」 「そういう話ではなく、お互いがお互いの番号を書いたのでその場でカップルになり・・・。 なんといいますか、連絡先を交換して週末に会う約束をして・・・」 そこまで話した時、先生が動揺した様子で私の方に歩いてきた。 それには驚き、鞄をデスクに置く暇もなく後退る。 高層ビルの高層階に入っているうちの事務所。 私の背中には大きな窓が・・・。 そこからは都会の空と、同じく高層ビルがいくつか見える・・・。 「先生・・・?」 私のすぐ目の前に立ち、優しく整った顔を先生が険しい顔にして私を見下ろしている。 「それって、付き合ったってこと?」 「いえ、付き合ったわけではまだなくて・・・」 「カップルって、何なの?」 「それは婚活用語といいますか・・・。 とにかく、まだ世間一般的に言うカップルではありません。」 「それなのに週末に会うの?」 「そういうのを繰り返して、お互い付き合うか決めていくものじゃないですか・・・?」 苦笑いをしながらそう聞くと、先生は少しも笑わず険しい顔のまま・・・ 「俺とも2人で週末に会ってよ。 俺ともそういうことを繰り返して、付き合うか決めてもらいたい。」
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