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絶対モテる。Tシャツがダボッとしてるのも格好良いし、サンダルなのにオシャレに見える。
男性は乾燥機に洗濯物を入れると、財布から小銭を取り出し機械に入れる。かごを手にくるりとこちらを向いたため、琴葉は慌てて視線を雑誌に戻す。そのまま出て行くのかと思ったら、男性はベンチの空いている所に座った。
隣に座るんですか!!ヤバい、緊張する。別に好きな人でもないのに、緊張するのはおかしな話だけど、男性に免疫がないから仕方がない。それにしても格好良い人って、なんでこんなに良い香りを纏っているんだろう。前を通った時、ほのかに甘い香りが鼻に届いた。
「…………」
雑誌に集中しようにも、隣が気になってしまう。そんな時ピーッと乾燥機が終わった音が聞こえた。ホッとすると、琴葉はかごを手に乾燥機へ向かう。素早く洗濯物を回収すると、かごを抱えて歩く。男性の前を通り過ぎる時ちらっと視線を向けると、男性は本を読んでいた。
傘立てからネイビーの傘を取る。傘をさして車まで向かうと、洗濯物が濡れないように気をつけて後部座席へとかごを置いた。
「……携帯じゃなくて、本を読む人なんだ」
暇つぶしには携帯をみんな見てるイメージがあったけど、あの人は違うんだなぁ。どんな本を読んでいるんだろう?本が好きな琴葉は、そんなことが気になった。それでももう会わないだろう、そう思っていた。
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