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それから二日後、相変わらず降り続ける雨で乾かない洗濯物を片手に、コインランドリーへ来た琴葉。自動ドアが開き、視界にうつりこんだ人影に思わずドキッとした。
この前いたイケメンさんだ。この日も彼は本を読んでいた。ドキドキしながら前を通り、洗濯物を乾燥機へと入れて回す。どうしよう、隣に座る?それとも一度家に帰ろうか?でも雨降っているし、帰っても少ししたらまた来なければならない。それは面倒だ。少し考えて、琴葉はベンチへと座った。
まだ読んでいない雑誌を手に取ると、パラパラとページをめくる。しかしなかなか集中出来ない。男性でしかもイケメンが隣にいること、読んでいる本のタイトルが気になり雑誌どころではなかった。
琴葉は壁に背中を預けるように、後ろに下がりながら隣をこっそり見る。男性が読んでいたのは、文庫本。その裏表紙に、琴葉は思わず声を上げた。
「眠れない私に太陽を!!」
本を指さし、そう声に出していた。しまった、そう思った時には、男性と目が合っていた。ヤバい、どうしよう。これじゃあ完全に怪しい人だ。何か言わないと!!
「あの……その本良いですよね。私大好きな本で。見るつもりはなかったんですけど、表紙が見えたのでつい……」
「…………」
不思議そうに男性は、本の裏表紙を見た。それからタイトルを確認すると、顔を上げた。
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