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宝の山の匠ドワーフ⑫ ラルムVSレッドキャップ
「レッドキャップ!」
ラルムはレッドキャップに魔法攻撃を放つが足が素早く攻撃をかわされてしまう。レッドキャップは壁や天井を歩いていたかと思うと空中も飛ぶように歩いている。素早いだけでなくジャンプ力もあり、ラルムの攻撃は全く当たらない。
「レッドキャップ?」
「ノア様、吾輩が解説いたしましょう。レッドキャップは人を襲う極めて危険な奴らです。あの帽子の赤は殺した者の血で染められていましてね、とても残虐なんですよ。だからもしみかけても、近寄らないでくださいね」
シャブランはそういって、さっきのように指をパチンと鳴らしシャボン玉のようなシールドを張る。
「あれれ~的外れだね~かすりもしないね~メスっこ」
「殺さないように手加減してあげているんだよ~おチビさん」といいながらラルムは次から次へと魔法を放つ。
「くそっ! メスのくせに生意気な!」
「あれれ~おチビさんというのが気に入ったのかな~」
「メスは黙って喰われるか、奴隷になっていろ!」
「いや~君って女性へのリスペクトが足りなすぎるな~。嫌われちゃうぞ、おチビちゃん」
「煩い煩い! その口、利けないようにしてやる!」
「やれるものならやってみなよ~」
ラルムの攻撃は一度も当たっていないがニコニコと余裕のある表情をしている。逆にレッドキャップは鬼のような形相で爪と牙を出し、攻撃態勢を取っているがラルムの攻撃を避けるだけで一度も攻撃をしていない。
もしかしてラルムは攻撃をしているのではなく敢えて外している? レッドキャップがどう動くか観察しながら攻撃パターンを決めているようにもみえる。攻撃後にレッドキャップが動く方を向いているということは敢えてのこの行動なのか。
「はい! 上にちゅーもーく!」
ラルムがそう言うとレッドキャップは上を向き、何もない空間から尖った氷の塊が現れる。レッドキャップは落下してきて氷を避けようと後ろに下がると、今度は下から尖った氷の塊が現れ直撃する。その衝撃で持っていたユミルの耳飾りを手放す。
「ぐはっ」
「君は単純だね、おーしまいっ!」
ラルムはそう言うと両手を叩き、レッドキャップは正二十面体の結界の中に捕らえられる。
「クソっ! メスのクセに! メスのクセに!」
レッドキャップは結界を殴ったり蹴ったりと暴れたりするがビクともしない処か音すら聞こえてこない。
「スライ、ちょっとだけ預かってくれる?」
「ハイデース」
スライはユミルの耳飾りを飲み込み、ユミルの耳飾りが消えてなくなってしまう。
「え? ユミルの耳飾りは?」
「それはスライの腹の中、僕しか開けられない収納ボックスに入れたって感じ」
「そうなのか」
「っ! ノア、危ない!」
私を庇ったラルムの背に巨大な炎がみえ、ラルムは炎に包まれる。
「ラルム!」
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