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宝の山の匠ドワーフ⑬ それぞれの事情と目で見えるモノが全てではないということ
「ほう、気づかれてしまったか」
声の主は人の姿で赤いマントに赤の全身コーデ、真っ赤な長い髪を靡かせながら空で足を組んで見下ろしている。
「吾輩のシールドを貫通するとは何者でしょう」
シャブランはニコッと微笑みながら声のトーンを下げながら片手に魔法球をつくり攻撃態勢に入る。
「僕のノアに触れるなぁ」
煙の中からラルムが飛び出し、青い双剣を赤マントに振り下ろす。赤マントは鱗のような両腕で双剣を振り払う。
「やはり竜族か」
「そういう君はドラゴンだね」
「竜族は魔族の配下になったと聞いたが。魔族様がこちらのエリアにいるのか不思議だね」
「うん。そうなんだよね。一族の絶滅の危機でね、まあ仕方がないというか。それよりそこに死んだはずの猫かぶりがいるようだけど? 何故、そちらの味方をしているのだ。返答によっては仕末しなければならないね。それにドラゴンがドラゴンスレイヤーと一緒にいるとは面白いものだな。さて雑談はここまでにしておいて。ユミルの耳飾りを渡してもらおうか、ドラゴンくん」
赤マントは赤い竜になり口から赤い炎を吐くとラルムもブルードラゴンになり青い炎で応戦する。洞窟内が炎と煙で空気が薄くなり視界も悪くなっていく。
「ハイデース! 使ウデース!」とスライがユミルの耳飾りを出し、サニー様に手渡す。
「さて、どうしたものか。マスターのナニカを差し出すと私たちにも影響する可能性があるからな、とすると……」
「私は何を差し出せばよろしいでしょうか」とアンジュ。
「話がはやくて助かるな。そうだな、首や耳、腕や足に身に着けているアクセサリーを外してもらってもよいか」
「これは……母からもらった大切なもので」
「そのアクセサリーがどんなアイテムか知っているのか?」
「え? ただのアクセサリーではないのですか?」
「母にそういわれたのか?」
「はい、絶対に外してはいけないと言われております。これ以外では難しいのでしょうか」
「ユミルの耳飾りに渡す高価な対価はこれしかない。どうしても外したくないと言うのであれば、そうだな寿命を対価に出すことは可能だが……」
「そうですか……それはどのくらいですか」
「それは私にもわからない数年かもしれないし、一生分でも足りないかもしれない」
「そうですか。わかりました。アクセサリーを渡すのがよいということですね」
アンジュはそういって身に着けているアクセサリーを一つずつ外していく。
「これはすごいですね! アクセサリーでここまでドワーフのフリが出来るとは!」
「微かに同じ波長を感じていたのは間違いではなかったか」
どういうこと? よくみると、アンジュの見た目が少し変化したような?
「ユミルの耳飾りよ。この対価で氷の中にいる者の封印を解き、本来の姿に戻し給え」
「その願いでは対価が足りぬ。その者の天使の力もよこせ」とユミルの耳飾りから半透明で光り輝くウネウネと動く手が伸びてきて、アンジュに指をさす。
「え? 私? 天使の力? よくわかりませんが私に渡せるものであれば持っていってくださいませ!」
「よいだろう。願いをかなえてやろう」
ユミルの耳飾りがそういうと真っ白な光に包まれる。
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