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昨日の晩、気づきました。
でも昨日までは、普通だったんです。普通に友だちだと、私は思っていました。
なのに、本当は私、ひとりぼっちだった。
それなのに、私だけ夏服で登校するなんて、考えられなかったんです。
オセロで最後までひっくり返らなかった白みたいに、ドッヂボールの最後の一人みたいに。
私一人だけが置いていかれるなんて、考えられなかったんです。
言おうとすると、涙も一緒に出てきそうだった。
だから、言わなかった。
私が住んでいる町の名前を伝えると、「えっ、遠いね!」と、木野さんは驚いた。
「そっかあ、バイト頼もうかな、と思ってたのに」
「えっ!」
「あっ、でもいいや。また遊びに来てね。あっ、そうだそうだ。きみにこれをあげよう」
木野さんはそう言って、ゴソゴソ本の山を探し始めた。
「あれっ? ないなあ、ここかなあ……」
2階にあがり、また戻ってきて、客の対応を一度挟み、それでも木野さんの目当てのものは出てこなかった。
もう、いいです……。
と、言いかけたころ、
「あっ、あったよ! あったよことりちゃん!」
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