古書のコショコショ堂

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 どこへも行きたくないし、帰りたくない。  とりあえず土手に下りて、しばらく川沿いを歩いた。広い土手には休憩する人、ジョギングする人、犬を連れて歩く人、さまざまな人がいた。快晴で、川が雲の模様になっている。歩くと少し汗ばむほどで、ここなら半袖でも、少しもはずかしくないのだった。  土手に座り込んでおしゃべりを楽しむ人を真似して、私もちょこんと座ってみた。  空がきれいだな。  そっと、寝転んでみた。  風が、鼻をくすぐる。  まるで、ジブリ映画の女の子みたいだ。力強く生きる女の子の上には、いつもうつくしい空が広がっている。  よかった。涙ぐんでしまう。私にも、きれいなものをきれいだと思う心があった。大事な衣替えの日に、冬服を忘れてしまう、こんな私でも……。  ペタッ 「えっ」  がばっと、起き上がる。 「えっ? えっ?」  あたりを見渡した。大きな翼を持つ鳥が一羽、悠然と空を飛んでいく。  ウソッ……!  あの鳥か。  私の制服、おなかあたりのところに、できたてほやほやの鳥のフンが落ちていたのである。
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