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十五の夏、部活の帰り道。こんがり日焼けした細い手足、女子が羨むような小さな顔。私より少し背の高いアイツが、いつも渡る橋の途中で足を止めた。
『中学卒業したら、引っ越すんだけど』
地元の高校に通うと言っていたのに、急な話に驚いた。
『十年後の今日、このくらいの時間に会おう?』
『ナニソレ……』
マンガみたいなことを言い出すから、思わず噴き出してしまった。私が笑うと、アイツも笑った。
『そんなに笑うなよー。ちょっと言ってみたかっただけ』
おでこにできた小さなニキビに触れながら、アイツは照れ笑いを浮かべた。
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