落ちた 落ちた

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「おーちた おちた なーにが おちた」 「おーちた おちた なーにが おちた」 リタとアルが、あそんでる。 からっと晴れた 昼下がり。 内緒の 内緒の 屋根の上 二人で こっそり のぼってさ。 それはもう 遠い遠い昔の話。 そこには小さな村があった。 だれも入れない村があった。 だれも来ないから なにも起きないはずだった。 だけど 人が死んでいく。 どんどん どんどん 高いところから 落ちて 死んでいくんだって。 みんな みんな怖がって 村を捨てて 出ていった。 だれもいなくなった 村の教会 屋根の上には 少し大きくなった二人。 ときどき 甘い匂いがする。 ときどき 猫の鳴き声がする。 今でもあそんでるんだって。 「おーちた おちた なーにが おちた」 「おーちた おちた なーにが おちた」
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