落ちた 落ちた

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落ちた 落ちた

「おーちた おちた なーにが おちた」 リタとアルが、あそんでる。 からっと晴れた 昼下がり。 内緒の 内緒の 屋根の上 二人で こっそり のぼってさ。 「おーちた おちた なーにが おちた」 「りんごが おちた」 リタが言った。 「りんごが おちたら どうするの?」 アルが聞いた。 「りょうてで おさらにして とるんだよ。」 リタが言った。 「どうして?」 また、アルが聞いた。 「きずつけないように するためだよ。きずつけたら たべられない。」 「きずつけないように うけとめたら どうするの?」 「キッチンで アップルパイを つくるんだよ。」 「どのくらい?」 「ふたりじゃ たべきれない。みんなにくばれるくらいだよ。」 「このーっくらい?」 アルが 両手を広げて円を描く。 「たりない。たりない。もっともっと。むこうのやまに ぶつかるくらい。」 「それじゃ りんごが たりないよ。」 「いっぱい いっぱい おちてくるんだよ。」 「じゃあ アルもてつだってあげる!」 もうすぐ もうすぐ おやつの時間。 子どもは 家に 戻る時間。 本当はもっと遊びたいけど また明日って リタとアルは手を振った。 
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