事実

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 美香の店のサイトを調べていたのには理由があった。別件の依頼で、妻の風俗勤めを知った夫から証拠を揃えて欲しいという依頼があったのだ。その過程でサイトを調べていて、美香とおぼしき『みすず』という女性から眼が離せなくなった。うまくぼかしで隠された眼の下、口許の黒子と唇のあの形、スタイル、そして胸元のネックレス。全体の雰囲気でもう、それが彼女だと直感で分かった。  大学時代の知り合いから、間宮が美香に婚約破棄されたと聞いたのはそのすぐ後の事だった。その後すぐに、間宮の死の報せがあり、この計画を思いついた。間宮の家には学生の頃に訪れた事もあったし、調査員という名目で訪ねて、美香の事を持ち出すと話はすぐに進んだ。それは間宮という恵まれ存在への敵意なのか、美香ともう一度、どんな形であれ逢いたいという気持ちなのか、分からなかった。職権を濫用した、いや悪用した行動だったのは確かだった。  外はいつの間にか雨が降り出していた。車を止めて、初台に行くよう告げて、美香と乗り込んだ。初台に間宮の実家がある。美香も何度も訪れたであろうその場所に、二人で向かう事になった。
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