事実

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 あのサイトで美香を見つけたのは自分だった。彼女があのネックレスをしていなければ、そして黒子が映っていなければ、こんな考えは心に芽生えなかっただろう。  ネックレスは、間宮が美香にプレゼントした物だった。その場に、美香の誕生日パーティーに自分もいた。美香が弾けるような笑顔でそれを受け取ったのを、嬌声の中で自分だけ遠くにいるような感覚で、見つめていた。  独りで行くのは照れ臭いからと、宝石店に一緒に行ってくれと間宮に頼まれた。あのネックレスは自分で選んで薦めたのだから、印象は強かった。それを美香が知る筈はなかった。いや、知っていたとしてもとうの昔に忘れている。自分はそんな存在だった筈だ。 「行こう。せっかくシャワーを浴びてくれて申し訳ないが、そういう気分でも無くてね」  グラスをテーブルに置いた美香は、もう先ほどまでのおどおどした雰囲気ではなかった。 「どうしてこんな、回りくどい事を」  色素の薄い瞳が、射るように見上げて来る。 「知らなかったのかい。俺達の仕事ってのは、大抵が回りくどいんだ」
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