karura.2

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 それから2028年5月、迦楼羅から電話のお誘いがあった。上げ潮会に来ない。えっつ、あったの、続いているの。それは世界的女優さんに失礼じゃない、でも勿論中堅として招待だからね。そう、私は時間の流れに堪らず微笑んだ。  私のあれからは、経緯が面倒臭いとしていつか。  瀬戸迦楼羅のこれ迄は、主演作がその後定期的に3本あるも、脚本が文芸過ぎて、ゴールデンタイムに振るわなかった。これは巡り合わせの妙だから止む得ない。ただ迦楼羅が醸し出す、画造りと佇まいと年齢から、助演の重鎮となった。本人としては、座長としての気配りしなくて楽とは言う。ここは今更だが、そこはTACCHの頃から何も変わって無いよね、そのマイペースぶり。  ただマイペースでも、2年前に迦楼羅は7歳下の神宮の球団の仕事人セカンドと結婚した。巷で拾い聞く限り、気配りで固いペニスをしているとの事で、女盛りに持って来いだ。迦楼羅の結婚式に行ってそれとなく、仕事人の股間を握り締めたかったが、迦楼羅の結婚式には、私のニューヨーク舞台のドラマの準備が始まっていたので、祝福ビデオの挨拶をしたままだった。  そして、また5月のゴールデンウィーク明けに、黒塗りの送迎車で、新浦安の高層スペル・ザ・ワードホテルに着く。  私は、刻まれた思い出で身体が疼き始める中、あの白兎の間へと向かう。そして受付で、進んで全裸になり、ラメのプラスチックのヒール、私の会員番号No.89の純白の蛍光色ダブルワイドスウッシュリストバンド、椿の髪留めを貰った。使い回しでは無い贅なのかと、改めて知った。  そしてホールに入ると、そうか、入場時間は年功序列順次なのかで若い方は最後なのかと初めて知った。この9年の間に、卒業生は多くいるが、あの日以来お世話になった方々に挨拶し回った。そして迦楼羅、その黒く長い髪はより艶やかになり、お仕事順調なのだと旧交を温めた。  そして話題は、スーパールーキーの話になる。前回からの参加になるが、どうにも女性好きな嗜好で、私が呼ばれたと。そうか強者か。それだったら麗子さんがいるでしょうは、敗北したらしい。それだったら迦楼羅はも、もう若く無いからと自重する。視線が遠いから迦楼羅も敗北か。いや、ところでスーパールーキーって誰なの。この前迄人気だった国民的アイドルグループ自由地帯24区のフロント小比類巻瓦。ああ、そう言うことかだ。  小比類巻瓦は確かにアイコンだ。ただヴィジュアルとインタンビューは100点も、歌唱とダンスは平均を下る。20年前のアイドルだったら、それは許されたが、今のアイドル市場はアジア全域であり、実力がなければ、そのまま日本国で首都圏サーキットツアーに準ずる。そうなるとファンの数があっという間に絞られ凋落する。音楽プロデューサーは3度変わるも、正直音楽性とギャラで折り合いが付かなくなったらしい。 「24区、普通に解散でいいんじゃない」 「そこをどうにか、瓦を卒業に導かせたいみたいよ」 「ライバルレーベルなのに、骨が折れる事するのね」 「これはアイドル業界全体のお話よ。アイドルプロジェクトって5年計画でしょう。3年で擱坐したら、親御さんの信頼なくなるじゃない」 「流石、麗子さんの一番弟子」 「それを言ったら、あなたも泉さんの一番弟子でしょう」 「それもね。私達の場合、何かと、そう、繰上げ方式だから、ほら」  共に、これ迄のTACCHのメンバーの経緯は知ってるので、全裸で溜め息しか出ない。  そして若手入場の時間帯よと、迦楼羅が耳打ちする。私も若いと姿見を毎度眺め満足するも。いざ瑞々しい肢体を眼福すると、おお、いいな旬な女性に男性はと、どうしても年相応の視線になる。私もそうやって可愛がられたよね。  やがて大トリなのか、最後は小比類巻瓦の入場で、淡い吐息が漏れる。高めのお団子ヘアはうなじにうっとりで、均整の取れた柔らかいお尻に、大きめな乳輪の胸を大きく揺らしながら登場する。  迦楼羅とも同意意見になるが、瓦のこの肢体がスクリーンで大きく揉まれると観客受けいいよねになる。と言うか、今すぐ揉みたくてうずうずする。何よりは、アンダーヘアーが、パイパンでは無く、細長いワンフィンガーの一本線で、手入れも含めて相当の強気だとは深く察した。  ゲーム大会はわちゃわちゃ続く。この間に瓦に声を掛ける者はほぼおらず、下降しているがエース級が何故にと、私は遠巻きに見つめる。  それでも懇談会で有り、瓦も社交に応じる。橿原麗子さんは、うんうんと頷き、相談か。ショートカットにイメージチェンジした若林阿津子さんは、瓦と視線が合うとフレンチキスを繰り返し、お気に入りか。そして粗方引けたところで、私と迦楼羅が、瓦に気さく話し掛ける。瓦が、私達に一瞬物おじしたのは、まあいつの間にか良いポジションにいる女優さんかで落ち着く。 「そうとは言え、私達TACCHもアーティスト、まあ世間的はアイドルだったのよ」 「私は、ちょっと齧っただけだけど」 「でも、アイドルって夢を与える仕事ですよ。泥臭い営業なんて、言えないSEX三昧じゃないですか」 「瓦は、SEX嫌いなの。本当の事言いなさいよ。悪い様にしないから」 「1:9です。好きな人としたいです」 「ありがちよね。そんなの相性あってこそよ。結局はペニスとカントからが、人柄窺えるのよ。機会はたくさんあるのだから、砕け散りなさいよ」 「そう言う、優里は28歳で処女失ったのよのね。余りに浅く広くもどうかと思いますけど」 「そう、私の処女喪失は、芸能界に入る前の、15歳で先生です。条例が面倒臭くて、都合よく捨てられましたけどね」 「ままあるお話よね。芸能界で揉まれる前に処女喪失しておく。TACCHのメンバーそう言う感んじだったけど、経験から言うと、その喪失感に苛まれて、いつか慣れきって、人生踏み外して行くのよ。瓦、まだ22歳でしょう。気持ち切り替えないと、あなたも知れず堕ちて行くわよ」 「私は、あのTACCHのメンバーと違いますから」 「そうね。でも、強がりは禁物よ」  私は、瓦が余りにも不憫になって、唇を重ね、そして長いセンセーションなキスを交わす。SEXは嫌いと言っても営業はこなしてる方か。まあ、セクシャル面でも逸材でなければ、上げ潮会には呼ばれないのだから、どうにか手を差し伸べたい。  そして、相変わらずの司会の風上信夫さん、いや今や2児のシングルマザーでご苦労なのに、微笑みながら、ヤングビンゴ大会始めますと宣言する。壇上へとタニマチの男女がビンゴ用番号入り抽選球を次々と引いて行く。不意に私の抜群の予感がした。瓦が当たりそうな気がする。さて、瓦が無表情でカントを擦ってお仕舞いだったら、それも盛り上げに欠けるかなだ。  そして、8巡目で。乾いた声で当たりましたと、瓦が声を上げる。えっつ本当に当たるの。いや、希少なキャスティング権を当てたのにそれかと、私と迦楼羅は顔を見合わせ、がっちり結託する。不意に麗子さんに視線を投げかけると、操作はしていない持ってるわねの表情をされる。この瓦のスター性、尚更乗ろうかだ。  壇上では、瓦がヤングビンゴ大会目録を貰うと、ハイバックチェアでは無く、3人掛けの背もたれ付き樫の木ベンチが運び込まれる。2回目出席の瓦が訝しむ。その透かさずに、私と迦楼羅が柄にもなく、投げキスをしながら壇上に進む。ウィナーの瓦の両手を、左は私、右は迦楼羅で、大いに掲げセレブレーションを盛り上げる。そしてそのまま腕を組み、3人掛けの樫の木ベンチに誘う。3人同時の可憐な自慰ショウが始まるかの期待だが、そこは高速スライダーを投げ込む。  私達は瓦と両腕組みをし、樫の木ベンチを腰を降ろす。さてと、予定通りに真ん中の瓦の両足を広げ、私と迦楼羅への太腿に乗せる。これは堪らん。堪らないは若さの弾力が有り、これだけで迸りそうだ。瓦に足を舐めなさいと言われたら、そりゃあ喜んでだ。  その瓦は産なカントが丸見えでも、度胸が座っており身じろぎもしない。ヤングビンゴ大会はそんなものかと、妙な場慣れしている。  登壇前に運営の麗子さんにも了承確認した。押すのは良くある事と。そのプラン、美味しい役回りだわ。私もとグイグイ来られたが、機を見て誰かが掻き回す方が美味しいですよね。うんうんと麗子さんの乳首が、興奮も荒く尖る。  私と迦楼羅は、瓦の両乳房を揉みほぐす。とても柔らか過ぎて揉むのが楽しくてしょうがない。揉んでも揉んでも飽きが全く来ない。これは女性好きでないと、この奥深さが分からない事だろう。成る程、前回感覚が深過ぎて、瓦に撃沈したのはこの辺か。  瓦は吐息を漏らし始める。私と迦楼羅は、そのまま乳輪と乳頭を丁寧に愛撫すると、いい、と瓦が遂に瓦が悦に入る。二人掛りでやっと攻略。それは逸材でしょうよ。もっと。瓦も徐々に目覚め始める。  そして壇上前に、最大規模のかぶりつきが集っていると、迦楼羅が補足する。瓦は、はあ、はあ、と見られる興奮のゾーンに入る。本能でアイドルの世界に入ったのは、目覚めるべき野生が求めたお陰もあろう。  そして次の段階へと。私と迦楼羅の手は、瓦の乳房から下がり、下腹部、子宮、恥丘と、縦横無尽に撫でる。コリと子宮の鼓動が手を伝って聞こえる。  いよいよカントに移る。迦楼羅は女陰、私はクリトリスを撫でる。瓦のクリトリスは、うぶかと思いきや、性格そのまま垂直に立っていた。パートナーに鍛えられたのではなく、堪えきれずの自慰で自ずと転がしやすくなったと思われる。体質あるあるだ。瓦の、はあはあ、と喘ぐ声が大きくなる。  瓦は、堪らず恥ずかしくなったか、自らのカントを掴もうとするが、ここも阿吽の呼吸で、私と迦楼羅で、瓦の両手を、瓦の両乳房に誘導する。揉んでなさいよ。曝け出して良いのよ。と励ます。  瓦は、大袈裟に見えるが、全てが感度になり、自らの柔らかい乳房を全体隈なく揉みほぐす。瓦は、いい。被りつきさんも、いいわのレスポンス。そう、瓦の美態は画造りとしては見事にフレームで生えている。  そして、私は迦楼羅と交代。迦楼羅はクリトリスへ、私は女陰そして膣へ励む。瓦は自慰が多いと察したが、膣内はどうにも中指一本しか入らない。これでは本能で男性に行ったら壊れてしまうの、性欲の衝動セーフティも入ろうか。まあ、ここでカントを拡張作業してもあれだし、私は丁寧に中指の腹で膣上部の擦り上げる。肉ひだは相応に段々としており、数をこなせば名器になるじゃない。ここにディルドがあれば、キツめに仕込めるのだけど、上潮の会は基本武器無しなので、まあ肉体表現の贅を尽くそうかだ。  私と迦楼羅は、クライマックスとして、瓦の自慰手伝い以外の、空いている手で自らのカントを撫で、見せるシェイクに徹する。私達の激しいシェイクは、急がないと瓦が先に行きそうなので、無茶でも追いつこうかだ。そう私達も喘ぎ始めたせいか、瓦は、ああ、ああ、ああ、と興奮はMAXになり、かぶり付きは頑張って瓦の、熱血の興奮で拳を固める。そして瓦が両乳房から手を離し、子宮を必死に抑えながら、堪らず吠える 「行く行く、行っちゃう、もうおかしくなりそう」 「私も行くから、ちょっと待って」 「待って、私も行くわよ」  私と迦楼羅は器用に、瓦のカントを刺激し、そして自身も、両手を使ったシェイクは、女性らしく隙のない高速さを上げる。皆膣内の上部を擦り上げ、同時に、ああ、行く。そして小水ではない、潮をプシュッと飛ばす。垂直に飛んだ潮を浴びたかぶり付きさんが歓喜する。ただ私達は全力で果てたので、大きな息を吸い、ゆっくり整える。  ただ瓦は、口を開きぱなしで、涎が容赦なく垂れる。そこに、もうと、麗子さんが登壇し、瓦の涎を舐め上げ、自らの口内を潤す。そしてディープキスに興ずると、瓦の理性が徐々に戻り、麗子さんの口内を貪る。  まあ、二人掛かりで漸く行くなんて、本当危い娘だ。変な男性に仕込まれて、グループセックスに招かれても、ここ迄引き出されたか分からない。そう、若い女性が悉く落ちる、貪欲な性の淵で足掻く、よくある例だ。  不意に瓦の頬が、潤って光る。行って嬉しい、の感激には違いない。ただ、今回女性による指南なので、錯覚しないと良いが。 「いいわ、青春ね」  この率直な感嘆は、小ぶりな乳房でも少年かと錯覚するショートカットの若林阿津子さんだ。今の容姿の方が絶対モテるとは思う、女性好きのサイドにとっては。そして、阿津子さんの瞳がやたら輝いていることから、瓦は今日大モテかなと過ぎる。  こうして上潮の会は、静かな興奮に包まれる。そして、風上信夫さんの興奮を隠せない声で、チークタイムに入りますとアナウンスされると、照明が薄暗くなる。  パーカッシブなドラムソロの多いジャズは流れる。知己の男性と密着するが、どのペニスは外れはなく、私の太腿をペチペチ叩く。いい音だ。ここは普段から、鼻筋でペニスの性格を当てるので、私も大人になり、それは確実になったかだ。  そして、来るかなと思ってた男性が来る。エコノミスト新宮寺辰晴。過去にこの白兎の間で事件を起こしただけに、私は周りを気にし遠巻きにしていたが、このチークで事件後の話に花が咲いた。  噂では聞いていたが、何故か新宮寺夫妻は夫婦円満らしい。何故かは、あの事件後、若いSEXについてとことん話し合い、スワッピングの会合に行くようになって、妻のザイオンが歓喜するらしい、SEX最高と。それは高みがない世界だから、甘ちゃんとしかくすりと笑い合うしかない。そもそもザイオンは、アメリカ人クオーターなのでスワッピングに関しては興味があったらしい。まあエグザクティブと、20代で結婚して、上品ぶろうがそもそも危うい。しかし、その性欲の発散を気づくだけでセーフだ。 「スワッピング、素敵ですね。通りで、新宮寺さんのペニスも鍛えられているのですね」 「よく、中折れしないのは不思議とは言われます」 「でも、それ、突然来るらしいですよ」 「怖いな。そう言うお話は止めましょうよ」 「それもそうですね。再びお会い出来て嬉しいです」  私は、新宮寺さんの中年らしくない、固いペニスを、自らの股間に挟み込み、腰を小刻みに振りながら、幅の小さなチークを満喫する。こういうソフト路線の懇話会は、助走が長くて女性はどうしても好きだ。それなのに、つい勢いで結婚して、夫さんとまま柄でも無い激しいSEXをするなんて、女の性って何だろうにもなる。そう、40代で結婚しても、妊娠はしたかなと不思議な自信はあるので、誰かとの出会いを待っても良かったかもしれない。でも不倫は嫌だな。  私は緩やかな興奮のカーブを描く中で、不意に新宮寺さんが離れ、ちょっと持たせて下さいと声を掛ける。私は慌ててカントに触れるとえらく濡れているので、そうかと。そして、私達を察したかの様に、照明は10m先が見えない、またもの状況になる。  これはナイスアシスト。私は、徐に新宮寺さんのペニスに触れると、私の愛液まみれでスルッと入ってたかもになった。そう言えば、ヤングビンゴ大会で、かなり身体が熱っているのかと腑に落ちた。  さて、今日はちょっと捲ろうかで、私は絨毯に座り、新宮寺さんの股間に顔を埋め、濃厚に含み倒す。そう、チークタイムの終了は気まぐれなので悠長に時間を費やせない。そして新宮寺さんのペニスがより立派に仕上がると、私はゆっくりと背中を絨毯に着かせる。新宮寺さん来て。体位は擬似正常位。細かく言えば両足を挙げた深山の体位で、絞り切った足と股間で、その程よい隙間に、新宮寺さんのペニス来ての、濃厚な素股だ。  新宮寺さんは薄暗がりのシルエットで悟り、私の高く上がった足の根本の股間に、新宮寺さんのペニスがスルッと入る。丁寧な前戯をすべきだろうが、上潮の会はただ上品で貴賓溢れるものだ。この薄暗がりに隠れて、暗黙の了解を遵守しつつ、互いにフルスロットルで飛ばそうかだ。  私の愛液で、深山体位の素股のグラインドが上がる。ああ、クリトリスがいい具合に擦れて、とても気持ち良い。妙齢そのままに声を挙げたかったが、私は必死の両手で口元を隠し小さく喘ぐ。ああ、このまま抜け出して、ホテルの部屋で門限21時迄非常に励みたいが、上潮の会は性欲に走ったSEXを禁止されている。ああでも、今迄そういう失態がないので罰則規定はない。この勢いペニスが良いだけに、純粋に我欲に浸る。いや、油断した。 「ちょっと待って、新宮時さん、私、良い、行っちゃいそう、行きますよ、はあ、」 「ああ、僕も丁度良いタイミングです」  私の身体がガクッと震えると、同時に。腹、胸へと、何か素晴らしい軌跡が走る、新宮寺さんの射精だ。懐かしくも、純然たる芳しい栗の香りそのもの。ああいい、私はお腹の精液を拭い、口に運ぶと、そう、これこれと堪能した。  そして間も無くで、照明の灯りが全開になると、一際大きな女性のよがり声二人分が聞こえた。何だろう。見渡すと中央に女性二人。別に上潮の会では不思議ではない組み合わせだ。いや待って。私は、純白の蛍光色ダブルワイドスウッシュリストバンドでお腹の精液を拭き終えると、よがる二人へと急ぎ歩み出した。  女性でしかない、濃厚なピチャピチャ音が、足と足を交錯させ、カントとカントを真正面から対峙する貝合わせから、愛おしく響く。女性好きなら、見ただけで鼻の奥が柔らかな香りで咽せ返る筈だ。  そう中央の二人は、瓦と阿津子さんの組み合わせだ。ヤングビンゴ大会でさも覚醒し、尊い情欲が至ったか。この連携はただ美しい。  貝合わせの果てに瓦が軽く行くと、その次に阿津子さんが腰を激しく生かせ、ここも7分の加減で行き、仰反る。そして攻守交代し、瓦がついて行こうと精一杯に腰を振り、こちらも7分で行く。瓦の世間知らずって何だったのだろう。この展開、あまりに素晴らしいリレーなので、記憶に深く留めよう。この間に、ホール全員が中央に集っては、感動で声を失くす。美しくそして逞しい。  そしてその交錯5往復で、瓦と阿津子さんは体力を温存したまま終える。好きと好きを確認すると、互いに濃厚な口付けをする。敢えて愛を確認する時間を、阿吽の呼吸で設けて、完璧に出来上がっている。  迦楼羅がビジネスかなの視線を、私に送る。私は視線を、二人の合わさった胸に窺い指す。瓦の乳頭が尖り、阿津子さんの2児を育てた立派な乳首の固さを誇るから、本物でしょうと。そして、私のついの拍手から、皆も惜しみない拍手を送り、円満に終わりお開きになる。  ◇  それから3ヶ月後。小比類巻瓦は自由地帯24区をZepp Shinjukuでの卒業公演を持ってアイドル大手事務所を退所する。女優になりたい。瓦の、今や底知れぬ美しさから誰も止める者はいなかった。淑女がアイドルとは、鈍感な男性でも違和感はあろうし。  そして、瓦が移籍した事務所は、若林阿津子さんが新たに発足させた、夫社長の日本芸術映画の関連会社のJAMパイロンに入社する。ビジネスプロセスは俳優アカデミーを兼ねた運営だ。  さて、その度を超えた仲良しから、噂も何も見てそのままだけど。瓦と阿津子さんは出来上がっているので、育児を終えた阿津子さんが、瓦の為に奮起したかだ。ただ、これは日本の芸能において然るべき朗報である。  より一皮剥けた瓦は、養成期間中でも途切れぬ仕事で、より世間に顔馴染みになる。  より2年後。小比類巻瓦は瞬く間に成長し、日本芸術映画の中作の文芸映画の主役になる。文芸映画は、風上信夫さん書き下ろしの「はなのしらべ」。昭和初期の函館の娼館に売られた娘の悲哀さの生涯。そして準主役として花魁役の瀬戸迦楼羅もキャスティング、脇も演技卓越俳優が配され盤石になる。 「はなのしらべ」の画作りは、俳優の接写が多く。スクリーンに裸体が大きく映しだされても失墜しない映像美は、至高のエロス作品として、より海外で評価される。瓦と迦楼羅の雪原の心中シーンも、函館の冬の美しさと共に極上のものになった。  アメリカの映像アカデミー賞にも、日本映画として唯一選出され注目された。まあ、私もかなりあっさりと、瓦と迦楼羅に抜かれる訳だけど、まあ、仕方ないよねと。  ただ、私はどうしても悔しく、若林阿津子さんのオフィスに表敬訪問、実質怒鳴り込みする。阿津子さんはどうしても来るわよね、と待ち構えて余裕綽々だ。今の優里さんは活劇作品が主戦場でしょう、良いブッキングするから待っててと諭された。でも、今脂が乗り切ったエロスを映像に残して起きたいのモヤモヤ。はあだ。ただそれも、上潮の会に、私のスケジュールをいつの間に調査され可能な限り開けさせられた上で、都度招待されているので、高みが果てしないエロスの溜飲は降りる。  しかしになる。迦楼羅は芝居にのめり込め過ぎて、旦那がスポーツコーディネーターの女性チーフと出来て、離婚を一方的に持ちかけられて、一つ一つ項目をチェックしながら協議離婚した。  ある日の丸の内のカフェの個室。迦楼羅との相談会はこんな感じ。 「離婚はしんどいわ、やはり女性と落ち着こうかな」 「SEX50年、身体が老いさらばえたら、あとは育んだ愛と心の繋がりが、人生の全てよ」 「身体ね、心ね。麗子さんも、言うのよ。身体が緩んできたら、迦楼羅、幹事お願いって。全然、衰えないのに投げかけられてもね」 「迦楼羅はそれどころじゃないでしょう、下着の会社に忙しいんでしょう」 「そうなのよね。儲かってるでしょうと言われるけど、スタートアップでまだ借入沢山よ。それで、どう」 「どうは、私がお手伝いと言ってもね。バレエレースの監修で、お手当貰ってもね」 「雑誌掲載の試作品レース下着は好評よ」 「迦楼羅、俳優も社長も欲張って。気をつけないと」 「それを、率直に言ってくれる、お友達が多いのは幸せよね」 「TACCH辞めて良かったは無しよ。私はTACCHがあったからこそ、夫さんと結ばれたのだから」  ここからは、夫婦円満の私が諭す。まあ、私と迦楼羅がセットで、迦楼羅の再婚候補にモーション掛けたら、迦楼羅の再婚は幸せには間違いはない。そう親友ですもの。
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