推しの速水さん

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推しの速水さん

「中島さん、久保田さん、スタンバイお願いしまーす」 スタジオに入ると、スタッフの声がかかり、久保田と一緒にカメラの前に立った。 今日はウエストシネマズ宣伝チャンネルの撮影だ。 久保田が私の恰好を見て小さな声でぷっと吹く。 くぅぅ。笑ったなー。久保田! 今、私はアイドルの恰好をしている。 髪型はピンクの大きなリボンが付いたツインテール。メイクは目の大きさと可愛らしさを強調するアイドルメイク。 衣装はピンクのレースとリボンで装飾されたひらひらワンピース。スカート丈が短く、ショーツが見えそうで落ち着かない。こんなに足を出す事になるとは思わなかった。 なぜ私がこんな姿をしているかというと、宣伝の為だ。 今回紹介する『推しの速水さん』にちなみ、『推し』と言えばアイドルという事になり、アイドルコスプレで宣伝チャンネルに出ようという話になった。 最初は久保田がアイドルコスプレで作品を紹介する予定だったが、雨宮部長が「男性アイドルよりも女性アイドルだ」と言い出して、私がアイドルの恰好をする事になった。 上司の命令には逆らえず、本日を迎えたという訳だ。 「では、本番いきます」 スタッフの声がかかると、笑っていた久保田がスッと真面目な顔をする。ウエストシネマズのテーマ音楽が流れ番組が始まった。 ―――――――――――――――――――― 「推しの速水さん」 https://estar.jp/novels/26149070
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