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「中島さん、冗談ですよ。泣きそうな顔しないで下さい」
久保田が慌てる。
「だって……」
「もう、中島さん、雨宮部長の事になると弱いんだから。えーと、チョコあげますから元気出して下さい」
久保田が机の引き出しからチョコレートの箱を出す。
「僕のとっておきのおやつですからね。これ、銀座のデパートでしか売ってないんですから」
久保田がチョコレートの箱を私に握らせた。
「だから、中島さん、そんな顔しないで」
私、そんなに落ち込んだ顔しているのかな。
「久保田、ありがとう。でも、チョコは大丈夫だよ。気持ちだけ受け取っておく」
チョコを久保田に返して席を立つ。トイレで気持ちを落ち着かせて来よう。
そう思った時、オフィスに総務のまりえちゃんと栗原さんがやって来た。
「中島ちゃん、大変！」
栗原さんに言われた。
「中島さん、雨宮部長が大変なんです！」
まりえちゃんにも言われた。
えっ！ 拓海さんが大変って何！ まさか怪我でもしたの？ それとも阿久津から海外支店に行けと言われたの！
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