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そう言って国分は立ち上がった。傷の痛みで顔をゆがめていたが、口元はニヤケていた。
「お前は包丁を腹に突き立てた。俺の指導の賜だな。そう、苦痛を与えるときにはそれでいい」
国分はそう言いながら、腹に突き立てられたままの包丁を指さして続けた。
「でもよう、この場所じゃ殺せないって言っただろう。最初からもっと上を狙っていれば、俺を殺せたハズだ。でも、お前はできなかった。違うか?」
国分は苦痛にゆがめる表情の中にめいっぱいの笑顔を作っていた。
(続く)
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