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「いいか、衣類が入っていても奥まで確かめるんだ。奥の方に隠していることがあるからな」
タンスの中を引っかき回しながら国分はそう俺に言った。
俺は「わかった」と返事しながら背負っていた鞄を降ろして抱きかかえるように持ち、その中から複数ある包丁の家の一本を取り出すと再びカバンを背負った。そしてゆっくり音を立てないように国分の背後へ近づいた。
俺が近づくと、部屋の灯りでできた俺の影がタンスにできた。
国分はそれに気づき、「おい、お前も手伝えよ。他の部屋で……」と言いかけつつ立ち上がって俺の方を向いた。
(続く)
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